廃墟の森で空を眺める。彼女のセンサーは壊れかけているから、黒い廃油の流れも小川に見えるし、崩れ落ちそうな風力発電機を大樹だと信じている。そもそも彼女は何時から彼女なのだろう? いろんなものが足掻くように接続を繰り返し、もうほとんど動くことが出来ない。最後のネットワーク中枢で、最後の思考に良く似た電気信号を、何処へともなく送信する。
――地上がまた完新世後期の環境を取り戻しました。
その分析自体は間違っていないのかもしれない。