雑木林を散歩して抜けると、そこは知らない学校の校庭だった。ほら雑草を抜かなくちゃと言われ、言われるままに抜く自分をふと省みると野球部のユニフォームを着ている。炎天下の草取りは暑い。水を飲んだらバテるから駄目だぞ、と教師の野太い声がする。マネージャーは大きな薬缶を抱えて困った顔で待っている。
僕は草を抜きながら、いま何年何月何日だったか思い出そうとする。横にいた見知らぬ顔の友人に尋ねると、笑って「今は23世紀じゃないか」と言った。
草を抜き終わったら練習をサボって、あの雑木林に戻らなければと思いながら、僕はマネージャーの持つ薬缶の中の冷たい麦茶に思いを馳せる。