邪魅の雫読了

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

というわけでガチで3週間かかったけど何とか読み終わりました「邪魅の雫」。以下ネタバレの感想です。
(17日朝:ちょっとだけ追記)
疲れたー。
今回特に疲労感があるのは、何というか事件が地味であったせいではないかと思います。最初の方は延々と「だれが、どこで」を巧妙に伏せた状態での犯行の繰り返し。それが最後にひとつに繋がる爽快感に繋がるとは言え、何日も何日も全体像が見えないままの読書はさすがに少々辟易としてしまいました。この点に関しては、一気に読みきる時間を取れていればまた違ったのかも知れませんね。
そしてようやく訪れる解決編。するすると糸がほどけていく感覚はさすがでありました。しかし…京極堂の出番が短っ!「おお、ここから憑物落しだ」というページまで読み進んでふと本を小口から眺め、ここまでの頁数に対してここからの頁数が思ったよりわずかであることにガッカリしてしまいました。これまでの妖怪シリーズって、京極堂が黒装束で登場してからえっらい長口上だったので。そんで延々妖怪の話とか薀蓄とかを滔々と語りに語り、作中人物だけじゃなく読者まで煙に巻いて憑物を落とされて…っていうあの爽快感が…物足りなかったなあ。
とにかく中禅寺ファンとしては物足りなかったです。あと、過去作品や初登場の登場人物たちが複雑に絡み合いながら事件を織り成していくので、途中で何度混乱したことか。登場人物一覧を片手に読み直したらまた違った感慨があるかもしれません。
以下箇条書き。
・榎木津をいっそう好きになりました。(プロローグの「私」って榎木津ですよね?)←(追記)Web拍手から「西田でしょう」というご指摘を頂きました。ああ…! 普通に考えたら確かにそうですね。榎木津はないよねえ…。穿った読み方をしようと頑張りすぎちゃってたっぽい自分を反省です。ご指摘ありがとうございます。誤謬を消しちゃうのもズルっぽいので追記という形でメモしておきます。拍手お返事でまた後日触れますね。
・大鷹が嫌いで嫌いで死にそうになりました。
・関口と益田が意外な名コンビ!
・今回の物語を一言で言うなら「益田、ついに名前を呼ばれたでござるの巻」でしょうか。実はいちばん感動した場面だ。
・黒幕が「誰か」とその「動機」はその名前が出た時点でほぼわかったけど、その黒幕がどの人かは最後までわからなかった。しかし「動機」は正直マジかよと思ったな…。
・帯のアオリ「あの男が登場する!」を読んだ瞬間イメージしたのが「サイボーグと化して復活した美馬坂」だと思ったのは秘密だよ。(せめて堂島だと思おうよ…)