週刊少年ジャンプ10号(の読み切り)感想

ジャンプ感想」という単語を口に出すのも久しぶりという風情です。毎週たのしく購読はしているのですが、感想はすっかりご無沙汰しておりました。ですが、今週号についてはちょっと言わねばなりますまい。
福島鉄平先生の読み切り「月・水・金はスイミング」が素晴らしいです。
ジャンプの読み切りは多くの場合、アンケートの順位が良ければ連載化を見越して描かれているのではないかと思います。だからこそ「続きが読みたい!」と思うような工夫や魅力はたっぷり詰まっているのですが、その反面、「ひとつの読み切り作品として完結している」という美しさは軽視されがちだと思います。そんな中、今回の福島先生の読み切りは、読み切り作品としてとても美しく感じました。
事件らしい事件も起こらず、淡々とした情景が続く、地味な作品ですが、ひとつひとつの場面や登場人物の仕草がとてもいとおしく、私にとっては懐かしく(若い読者にとっては共感になるのでしょう)、あぁ何かもう、可愛いなあ! と叫びたくなるような素敵な作品でした。
連載化は難しいと思いますが(というか、福島先生はこの作品を「連載」を見越して書いていないんじゃないかと思います)、でも「この作者の次回作が読みたい」と感じる作品です。こんな作品を掲載するジャンプは、やはりまだまだ度量が広いなぁという、雑誌自体への好印象も感じました。
福島先生、やっぱバトルよりこういうほのぼのきゅんきゅん物語が向いてると思うよ……。